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バーバリーと三陽商会の今後って(1)

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三陽商会のバーバリーとのライセンス契約(商標権の許諾、技術情報の提供、製造権および販売権の許諾)は現在のところ2015年6月30日までとなっていると思います。それ以降のライセンス契約の行方がとても気になっている一人として、今後どうなるのか考察してみたいと思います。
(ライセンス契約の詳細条件などは知る由もないので一個人の妄想にすぎませんがw)


ライセンス契約とは、つまりは利害関係者(バーバリーと三陽商会)が折り合うところを探した結果ということですので、このお題を考察するうえで、利害関係者のそれぞれの望みを推考したうえで、最後にケーススタディという流れでつづってみます。
(文章量が多くなると、書く方も読む方も疲れちゃうので、何回かに分けてつづってみます。)


まず、『(1)バーバリー(本家)の立場から日本のライセンスビジネスをどうしたいか』を推考してみたいと思います。


考えるうえでのポイントは3つです。


 ①日本を含むアジアの市場はバーバリーにとって大きな市場であること
 ②バーバリーは戦略的に自前で売りたいこと
 ③日本を含むアジアの市場で日本独自のレーベル(ブルーレーベル、ブラックレーベルなど)の人気が高いこと


それでは、それぞれ補足しながら詳細をみていきましょう。


①日本を含むアジアの市場はバーバリーにとって大きな市場であること
日本を含むアジア(ASIA PACIFIC)の市場はバーバリーの収入の約36%を占めており、地域別でトップとなっています。今後は中国をはじめとする市場の伸びも期待されていて、この市場を無視して今後ビジネスを展開することは考えにくいです。つまり、バーバリーはこの市場をガッツリ押さえて拡大していきたいと考えるのが自然かと思われます。


②バーバリーは戦略的に自前で売りたいこと
バーバリーは戦略テーマとして小売りの加速による成長(Accelerate retail-led growth)をかねてより掲げています。その推進のため、例えばSAPのHANAというリアルタイム情報基盤を導入するなどして、Web上、リアル店舗に様々な仕組みを構築するなどの努力を重ねているはずです。事実、2006年度の収入構成比は<卸売:46%、小売:43%、ライセンス収入11%>だったところが、2012年度の収入構成比は<卸売:26%:小売68%、ライセンス収入6%>となっており、卸売りから小売りへのシフトが進んでいます。日本を含むアジアでもすでに販売されていますし、商品の開発・マーケティング・流通をコントロールできるなどのメリットのある小売りへ移行したいという流れは今後も続くと思われます。つまり、バーバリーは上述の市場をガッツリ押さえて拡大していく(①)としても、その方法はライセンス契約などで売ってもらって収入を得るのではなく、できれば自前で売りたいと考えるのが自然かと思われます。


③日本を含むアジアの市場で日本独自のレーベル(ブルーレーベル、ブラックレーベルなど)の人気が高いこと
上述のとおりバーバリーは日本でも販売しているものの、日本では三陽商会の独自のレーベル(ブルーレーベル、ブラックレーベル)が展開されていて高い人気を維持しています。それを示す証拠として、日本らからのライセンス収入(大半は三陽商会と仮定)はバーバリーのライセンス収入全体の約2/3をも占めていることが挙げられます。バーバリー全体の収入に対するライセンス収入の割合は約6%となっていますので、日本からのライセンス収入だけでバーバリー全体の収入の約4%を占めることになります。 (ライセンス条件は知る由もありませんが、少なくともこれだけのライセンス料を支払えるということは、それだけ三陽商会の独自のレーベル(ブルーレーベル、ブラックレーベル)が売れているということを意味しています) さらに日本独自のライセンスレーベルですが、以前つづったようにアジアでも人気が高く、購入のため来日する方々も多数いるのが現状です。バーバリーとしては①大きな市場で②自前で販売していきたいと推考されますが、日本独自のレーベルを簡単に切り捨てられない状況ではないかと思われます。 (切り捨てちゃった場合、ワーストケースシナリオではライセンス収入が激減して、日本を含むアジアでの販売拡大の足掛かりを失うことになるので)


上記①~③から、バーバリーにとって一番ハッピーなシナリオは「三陽商会の日本独自のレーベルをバーバリー本家のラインに吸収して、日本を含むアジア市場に自前で売っていくこと」ではないかと思われます。


(続く)


参照資料
・三陽商会 第67期有価証券報告書
http://www.sanyo-shokai.co.jp/ir/pdf/a-s-r09_all.pdf
・BURBERRY ANNUAL REPORT 2012
http://www.burberryplc.com/documents/full_annual_report/burberry_ar_2012.pdf
・BURBERRY 16-01-2013_investor_pack
http://www.burberryplc.com/documents/results/2013/16-01-13_investor_pack_-_jan/16-01-2013_investor_pack_-_jan
・SAP グローバル競争に対応するためのこれからのIT戦略 ソリューション統括本部 本部長 脇坂順雄氏著
http://www.sap.com/japan/about/events/2012/1120_hsc/06.pdf
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