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バーバリーと三陽商会の今後って(3)

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(2)より続く個人的見解

最後に(1)(2)よりバーバリーと三陽商会のライセンス契約の今後の行方をケーススタディしてみたいと思います。


ケース1
三陽商会の日本独自のレーベルをバーバリー本家のラインに吸収して、日本を含むアジア市場にバーバリーが自前で売っていく
全面的にバーバリーの望むシナリオですが、このシナリオが一番可能性が高いと考えます。
理由は2つ。


①三陽商会側の交渉カードは「従来のどうりのライセンス契約延長」につながるほど強いものはないと推考されること
②契約においては商標権をもつブランド側が圧倒的に有利であること


①三陽商会側の交渉カードは「従来のどうりのライセンス契約延長」につながるほど強いものはないと推考されること
ブルーレーベル・ブラックレーベルは三陽商会がバーバリーとライセンス契約をして製造・販売している日本独自レーベルであることを知っている人はもちろんたくさんいますが、一般的には「バーバリー」という大きなブランドの括りでとらえられています。仮に全く同じデザインだとしてもそれが「バーバリー」でなくなった時点で三陽商会は今のような売上を維持できないと推測されます。つまり絶大なブランド力のある「バーバリー」という括りが必須ということです。そのため三陽商会は自身が育てたブルーレーベル・ブラックレーベルだとしてもバーバリーとの契約のおいては下手にでざるを得ないと思います。(バーバリーは最悪、ブルレ・ブラレがなくとも自身のレーベルで勝負することができるから)
日本独自のレーベルという大きな交渉カードは「従来通りのライセンス契約の更新」に使えるほどの効力はなく、「バーバリー本家のラインに吸収する際の対価の交渉」に使える程度ではないかと推測されます。

三陽商会側の残りの交渉のカードとしては、十分に構築された流通・販売実店舗のインフラがありますが、交渉のカードとしては弱いと推測されます。
なぜならば、バーバリーはバーバリー・インターナショナル株式会社を2008年11月に設立し、全国規模で直販店舗網を拡大してきており、さらにネットでの販売にも力を注いでいるためです。
今やネットで物を買うのが当たり前の時代になってきています。高価な品物はネットで売れないとも言われていますが、ブランドを求める人にとってはそれがバーバリーということが確実で、好みにあったデザインであるという条件を満たしていればネットで購入することに大きな躊躇はないのではないでしょうか。(サイズや色味などの問題もネット上で分りやすい表記・写真を掲載したりすればほどんど問題なくなると思われます。だって重要度が高いのは「それがバーバリーであること」なので。)そうなると実店舗の方も一昔前のように多数必要ではありません。


②契約においては商標権をもつブランド側が圧倒的に有利であること
一般的に契約をどうするかについては商標権を持つ側が有利なのは明確です。
バーバリーと三陽商会は長きにわたりライセンス契約を継続してきているので考慮の余地があるようにも思われますが、西川の例(※1)もありますのでバーバリーは必要とあれば躊躇なくライセンス契約を終了させると思われます。

(※1)
バーバリーはラグジュアリーノンアパレル市場への参入を本格化させるために、1977年3月から西川と結んできた、日本国内でのバッグ、革小物の企画、生産、販売に関するライセンス契約を2010年6月末を以って終了させています。30年以上の長きにわたって継続してきた関係も、合理性を求めるビジネスシーンではほとんど意味を持ちません。



ケース2
今までより更に高額のライセンスフィー契約で、これまで通り三陽商会が日本独自レーベルを製造・販売する。
バーバリーに有利な条件で三陽商会側の希望をかなえる形のシナリオです。バーバリーに有利になるのは、上述のとおり契約においては商標権をもつブランド側が圧倒的に有利であるためです。これまでどおり三陽商会のブルーレーベル、ブラックレーベルを購入できたらとは願っていますが、実際このシナリオの可能性は低いと考えます。
理由は2つ。


①三陽商会側の余力は低下していること
②ライセンスフィーが上がるとしたら、三陽商会としてもライセンスを継続するメリットがあまりなくなること


①三陽商会側の余力は低下していること
バーバリーは自前で売りたいはずなので、契約更新のためにはバーバリーが自前で売ることを取り下げるほどのメリットを三陽商会が提供できなければならないということになります。
可能性の1つとしては「今までよりさらに高額のライセンスフィー」を提供するということになりますが、三陽商会の売上げは右肩下がり傾向にあるので、バーバリーに更に高額のライセンスフィーを支払う余力が減ってきていると推測されます。


②ライセンスフィーが上がるとしたら、三陽商会としてもライセンスを継続するメリットがあまりなくなること
仮に高額のライセンスフィーが払えたとしても、バーバリーのさじ加減次第で大きな負担となる可能性が高く、次のライセンス更新のことも視野に入れるとうま味はあまりない状況を三陽商会側はおもしろいと思わないでしょう。また、今後三陽商会のバーバリー日本独自レーベルの売上が大きく低下することがあれば、バーバリー側のライセンス収入も大きく低下すると思われるので、自前で売りたいバーバリーから以前のように契約短縮などの要求がでてくる可能性も十分に考えられます。



はたしてどうなるのか、その答えは今は分かりませんが、ブルーレーベル、ブラックレーベル好きの1人としてバーバリーと三陽商会の今後のライセンス契約の行方を見守っていきたいと思います。

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